第5回公演
E.カールマン
「マリツァ伯爵令嬢」
全幕(日本語訳詞上演)

オペレッタプロジェクト6
1996.7.20(土)午後5時30分開演 
杉並区立久我山会館 
1996.7.21(日)午後5時30分開演 
聖蹟アウラホール 
全席自由1,000円

 

スタッフ

芸術監督/制作統括/演出
        ・・・・・八木原 良貴 
制作統括・芸術監督・脚本
        ・・・・・八木原 良貴 
音楽監督
        ・・・・・橋本 修一 
編曲
        ・・・・・青山 るり・赤井 康男・鈴木 千博・橋本 修一
原詞翻訳・日本語歌詞作成
        ・・・・・三浦 真弓 
アンサンブル振付
        ・・・・・藤井 明子 
バレエ振付
        ・・・・・木室 陽一・藤井 明子

 

キャスト

マリツァ Soprano
                          ・・・・・大林 弘子 
タシロ Tenor
                          ・・・・・八木原 良貴 
リーザ Soprano
                          ・・・・・大津 佐知子 
ジュパン Baritone
                          ・・・・・北 教之 
ポポレスク Baritone
                          ・・・・・榎本 健太郎 
マンニャ Mezzo Soprano
                          ・・・・・阿部 政代 
チェッコ Bass
                          ・・・・・木下 圭一 
ボツェーナ Mezzo Soprano
                          ・・・・・和田 惠美子 
ベニチェック (語り役)
                          ・・・・・荻島 創一 
カール・シュテファン (語り役)
                          ・・・・・上田 純也 
ホリイゲ《ドナウ》のマスター (アコーディオン)
                          ・・・・・小林 義弘(六本木《ドナウ》)

ガレリア座管弦楽団
ガレリア座合唱団
ガレリア座バレエ団

 

上演に寄せて

「どうしてヤギさんはオペラをやっているの?」

ガレリア座の公演も5回目を数え、余っているとはとても言いがたい時間を金をこの活動につぎ込んでいる私を見て、心配しているのか、呆れているのか、私の知人はそう質問するのです。聞かれた方の私は、どうしてって言われても……と言わんばかりの困惑顔だったのでしょう、「好きなんだからしょうがないよね。」と知人はその場をおさめてくれました。

思い返せば高校生の頃、ウィーン・フォルクスオーパーが来日し、そのJ・シュトラウス『こうもり』を見てしまったときから、私の「好きなんだから」は始まりました。以来十数年、洗練された恋の物語を音楽と芝居で綴る<オペレッタ>に魅せられ、まるまる全曲ということでは、ガレリア座の旗揚げ公演で同じ『こうもり』を、そして今回は、私の大好きなカールマンの傑作『マリツァ伯爵令嬢』を上演することになりました。

オペレッタ好き、という割には、たったの2作め……と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、好きなだけに思い入れは深いもの。最高の役者と最高のスタッフに恵まれなければ、現実化にはなかなか踏み切れないものなのです。前回の『ホフマン物語』に比べて小さい規模の公演ではありますが、粒ぞろいの音楽と芝居、それに踊り(!)を、今日は皆様のすぐ目の前でご覧に入れたいと思います。

それからもう一つ。公演2日目の日曜日には、私たちオペレッタ馬鹿の大先輩、ガレリア座の打ち上げ会場である六本木のビア・レストラン《ドナウ》のマスター、小林義弘氏がゲスト出演してくれます。マスターが奏でる本場仕込みのアコーディオンは、オペレッタフリークならずとも涙ものです。

私の夢がいっぱいつまったこの一夜。最後までごゆっくりお楽しみください。

         ・・・・・ガレリア座主宰 八木原 良貴

 

あらすじ

初演 ウィーン 1924.2.28 
作曲 エメリッヒ・カールマン(1882.10.24 - 1953.10.30)

 

〜プロローグ〜

思い出の中で、幼い声が二つ、小さな恋の約束を交わす。ジプシーの予言に託された二人の未来を…

 

第1幕

ハンガリーの名家の当主、マリツァ伯爵令嬢の館では、ウィーンで貴族のたしなみを学んでいるマリツァの帰宅が間近。館を守る老僕チェッコ爺のかつての主人、タシロ・エンドローディ・ヴィッテンブルグ伯爵は、零落の身を隠し、執事としてマリツァの館に仕えている。彼の心の支えは、幼い日、マリツァと交わした小さな結婚の約束だ。

ウィーンからやってきたタシロの旧友、カール・シュテファンは、マリツァと共に、タシロの妹、リーザが館を訪れることを告げる。 

マリツァの帰宅。そして、タシロとリーザの再会。兄妹は、貴族としての誇りゆえに、その素性と関係を隠さねばならない。リーザの変わらない笑顔に、タシロの心は和む。

マリツァは、自分の財産目当てに群がる男達を振り払うために、架空の人物、コロマン・ジュパン男爵との婚約発表をでっちあげる。マリツァに想いを寄せるポポレスク男爵は、婚約発表が偽りと知って胸をなで下ろすが、そこに、実在したコロマン・ジュパン男爵が出現してしまって、場は大騒ぎになる。

マリツァはタシロのことを思い出すこともできず、ひたすら華やかなパーティに溺れている。一同がパーティに去った後、やるせない想いを歌うタシロ。その歌声を聞きつけたマリツァは、来客の前で歌を披露することをタシロに強いる。しかし、タシロはこれを拒絶し、マリツァの怒りをかう。

来客達が、歓楽街、タバリンに繰り出そうとした時、ジプシーの女、マンニャが突如現れる。マリツァに、恋の訪れを予言するマンニャ。高貴な血筋の男との激しい恋。いぶかるマリツァは、その心の高ぶりを鎮めるために館に一人残り、タシロと一瞬、心を通わせる。

 

第2幕

どこか高貴な、そして高潔な血を感じさせるタシロ。かすかな幼い日の記憶に導かれ、彼に次第に惹かれていくマリツァ。そしてその傍ら、ひたすら調子のいい、しかし憎めないジュパンに、好意を持ち始めるリーザ。真実の恋を語るタシロに、マリツァの心はいつしか開かれ、二人は永遠の愛を誓いあう。

マリツァと結ばれる喜びをカール・シュテファンへの手紙に綴るタシロ。しかし、その手紙を覗き見たポポレスクは、タシロとリーザが恋人同士で、共謀してマリツァの財産をだましとろうとしていると誤解する。

タシロの件の手紙を見せられ、猜疑心に捕らわれ激怒するマリツァ。来客の前で面罵され、自分の心を信じようとしないマリツァに絶望したタシロは、自らの身分と、リーザが実の妹であることを明かし、マリツァのもとを去ることを決意する。

 

第3幕

マリツァのもとを離れるというタシロの決意は固く、誤解が解けて後悔しているマリツァの落胆は激しい。そこに現れるタシロの伯母、ボッツェーナ侯爵婦人。彼女はタシロのウィーンの屋敷が買い戻されたことを告げに来たのだ。喜ぶリーザ。しかし、これでリーザもハンガリーを離れ、ウィーンに戻らねばならなくなってしまう。

どうしてもリーザと離れたくないジュパンはここで一世一代のプロポーズ。いつもせっかちに事を進めようとするジュパンに一度は反発するリーザだったが、自分の内に芽生えたジュパンへの恋心にも逆らえない。はにかみながらもジュパンからの結婚の申し込みに頷くリーザ。

一方、マリツァとの溝を深めてしまったタシロは、ボッツェーナ侯爵夫人の説得もなかなか聞き入れようとしない。マリツァとて同じこと。とうとう、タシロはマリツァ宛てに1通の手紙を残しこの屋敷を出て行こうとする。

別れ際に、幼い頃の思い出の歌を口ずさむタシロ。それに和すマリツァ。マリツァの心に、子供の頃のあの約束がよみがえる。出て行くタシロを止めるすべもなく、1通の手紙を渡すマリツァ。 お互い別れてから読むように・・・と残したはずの手紙だったが、酸いも甘いも心得たボッツェーナ侯爵夫人とポポレスク男爵は、2人の本当の心はお見通し。タシロが出て行く前に、それぞれの手紙を開封させてしまう。そこには2通とも「心から愛しています」のメッセージが。誤解がとけ、意地を張り合う必要もなくなったタシロとマリツァは、やっと本当の思いを告げあい、しっかりと結ばれる。

幼い頃の婚約のしるしの首飾りを、どこからともなく現れたマンニャが差し出す。改めてマリツァの首にそれを飾るタシロを、大喜びで見守るジュパンとリーザ。2組のカップルを祝福する村人たちの宴は、いつまでも止むことがなかった。