第7回公演
J.シュトラウス2世
「王子メトゥザレム」
全幕(日本語訳詞上演)

オペレッタプロジェクト7
1997.11.2(日)午後2時開演 
かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール 
全席自由2,000円(前売1,500円)

 

スタッフ

制作統括・芸術監督・演出
        ・・・・・八木原 良貴 
音楽監督・指揮
        ・・・・・野町 琢爾 
舞踏監督
        ・・・・・木室 陽一 
舞台監督・演出補佐・脚本
        ・・・・・北 教之 
振付
        ・・・・・木室 陽一・酒向 治子 
日本語歌詞作成
        ・・・・・三浦 真弓 
舞台美術
        ・・・・・奥山 直美

 

キャスト

ジギスムント(トロカデッロの領主) Tenor
                          ・・・・・八木原 良貴 
ツィプリアン(リカラックの領主) Tenor
                          ・・・・・利根川 聡 
侯爵カルボヌッツィ(評議会議長) Baritone
                          ・・・・・上田 純也 
ソフィスティカ(ツィプリアンの妻) Mezzo Soprano
                          ・・・・・西田 佳愛 
プルチネッラ(ジギスムントの娘) Soprano
                          ・・・・・大津 佐知子 
メトゥザレム(ツィプリアンの息子) Tenor
                          ・・・・・丹下 知浩 
シュパーディ(トロカデッロの近衛隊長) Tenor
                          ・・・・・倉田 誓 
ヴルカーニオ(シュパーディの部下) Tenor
                          ・・・・・立野 敦士 
エルネスタ(プルチネッラ付き女官) Alto
                          ・・・・・松尾 恵 
アラヴェッラ(プルチネッラ付き女官) Alto
                          ・・・・・山中 利恵 
オピュレンテ(トロカデッロの大臣) Tenor
                          ・・・・・千葉 崇史 
伝令 Tenor
                          ・・・・・荻島 創一

ガレリア座管弦楽団
ガレリア座合唱団
ガレリア座バレエ団

 

上演に寄せて

「こうもり」「ジプシー男爵」「ウィーン気質」「ヴェニスの一夜」…きら星の如き輝きを見せるヨハン・シュトラウスのオペレッタたち。甘美さと力強さを兼ね備えたワルツ王の作品は、世界中の劇場でたくさんの観客を魅了し続けてきました。でも、時の流れのなかで、顧みられることのなくなった傑作が必ずあるはず。もはや世界中のどの劇場でも掛けられなくなったオペレッタを何としても見てみたい。一生にただ一度きり。それも思いっきり楽しい舞台で!

日本ヨハン・シュトラウス協会の方々から、それをやれるのは日本でただ一つ、ガレリア座しかありませんと口説かれて、私はすっかり有頂天になってしまったのです。聴衆が見たいものを、最高の楽しみとして演ずる喜び。そして自身、オペレッタフリークとしての好奇心も手伝って。やるゾ!…はは、私の悪い癖ですね。

これが日本初演(世界的にも復活蘇演!)となる喜歌劇「王子メトゥザレム」には、極上のシャンパンのようなメロディがたっぷり。座員一同、張り切っています。みなさんに「来て良かったね! 楽しかったね!」と言っていただけることを願いつつ…。

本日はご来場、ありがとうございました。

         ・・・・・ガレリア座主宰 八木原 良貴

 

あらすじ

3幕からなるオペレッタ
初演 ウィーン 1877.1.3 
作曲 ヨハン・シュトラウス2世(1825.10.25 - 1899.6.3)

 

第1幕 トロカデッロ領主 ジギスムント侯爵の中庭

いつとも、どこともわからない、遠い遠い場所で起こったお話です。

長らく小競り合いを繰り返していた2つの国トロカデッロとリカラック。ついにトロカデッロはリカラックの軍事力に屈し、両国の間に同盟が締結されます。その同盟の証として、トロカデッロの領主ジギスムントの娘、プルチネッラは、リカラックの領主ツィプリアンの息子、メトゥザレムと結婚させられることになります。

露骨な政略結婚の犠牲になることを嘆くプルチネッラ。トロカデッロの名宰相カルボヌッツィは、領主家の館の中庭にある泉の愛の奇跡の物語を語り、彼女を慰めます。傷ついた領主の妻の犠牲的な愛に応えて生まれたこの奇跡の泉は、代々の領主が呼びかけたときだけ、豊かな水をたたえると信じられ、トロカデッロの領民の心の支えでありました。

ところが、その泉はとうの昔に涸れてしまっていたのです。ジギスムントは、泉の下にカラクリ部屋を作り、あたかも泉が健在であるかのように見せ掛けます。時を稼げば、急激な軍隊の拡大に疲れ果てたリカラックの国民は、明日にもツィプリアンに叛旗を翻すだろう、そうすれば、愛娘の結婚も自然に消滅する。それがジギスムントの策略でした。

そこへ、結婚式のために、リカラックから、ツィプリアン、その妻ソフィスティカ、メトゥザレムの3人が到着します。

そして、メトゥザレムとプルチネッラは、結婚式で一目視線を交わした途端、お互いのとりこになってしまいます。思惑違いの展開に慌てるジギスムント。そこに、リカラックで革命が起きたとの知らせが飛び込んできます。カルボヌッツィの進言で、ジギスムントは仮病を使い、披露宴を一日伸ばし、メトゥザレムとプルチネッラを引き離します。

 

第2幕 ジギスムントの娘 プルチネッラの居室と、その廊下

カルボヌッツィからリカラック国内で革命が起きたとの知らせを聞き、取り乱すソフィスティカ。カルボヌッツィは、秘めていたはずの彼女への熱い想いをぶつけてしまいます。しかし、二人の心の溝は、どうしても埋めることができないものでした。

一方、ジギスムントの策略をしりめに、メトゥザレムはちゃっかりプルチネッラの部屋に忍び込んでいます。初夜のときめきを歌う二人。そこへ、カルボヌッツィが、リカラックの革命の知らせを告げにやってきます。

国を失ったメトゥザレムはすっかり自信をなくしますが、プルチネッラは永遠の愛を誓い、彼を慰めます。 カルボヌッツィは、そんな二人に、危機を打開する知恵を授けます。泉のカラクリを自分達で操って、メトゥザレムが泉を甦らせたように人々に見せかけ、ジギスムントから王権を奪おうというのです。

メトゥザレムを探してなだれこんできた人々に向かって、泉の奇跡を約束するメトゥザレム。人々は若い王子への期待感に目を輝かせます。

 

第3幕 ふたたびジギスムント侯爵の中庭

泉のカラクリ部屋に隠れていたツィプリアンとソフィスティカ。自分が国を失ったことが信じられないツィプリアンに、ソフィスティカは過酷な現実を突き付けます。何もかも失ったツィプリアンは、自分の本当の気持ちを彼女に吐き出します。カルボヌッツィとソフィスティカの仲を疑い、嫉妬と疑心暗鬼のとりこになった彼は、トロカデッロを我がものにしようと、無理な軍事力拡大に躍起となったのでした。 「全ては、お前を愛していたから…」 そのツィプリアンの言葉に、夫婦の間の長いわだかまりが消え去ります。

そこへ駆け込んでくるカルボヌッツィ。メトゥザレムがジギスムントから王権を奪うためには、泉のカラクリを自分達で操らなければなりません。ところが、肝心のカラクリは、ツィプリアン達の努力にも関わらず、壊れて火を吹いてしまいます。「わしが何とかする!」ツィプリアンは決死の覚悟で、炎に包まれたカラクリ部屋の中に飛び込んでいきます。

それと入れ違いに、人々が泉の中庭の前に集まってきます。これから、ジギスムントとメトゥザレムのどちらが泉の水を呼び出せるかを競い合うことになったのです。カラクリが壊れてしまったことを知ったジギスムントは、メトゥザレムから先に呼びかけを行うよう促します。そんなこととは知らず、必死で聖母マリアと愛の泉に呼びかけるメトゥザレム。ところが、泉はまったく反応しません。

期待を裏切られた人々は「こいつは大嘘つきの反逆者だ!」と怒り、ジギスムントの一声を合図に、メトゥザレムを捕らえようと取り囲みます。メトゥザレムは大勢の人々に追い詰められて絶体絶命。と、そのとき、ジギスムントの手を振りほどいたプルチネッラがメトゥザレムのもとへ駆け寄ります。真実の愛を誓い合う二人。すると、それまで静かだった泉から、とうとうと豊かな水が湧き出したではありませんか! ツィプリアンはカラクリの故障を直すことが出来なかったというのに・・・。奇跡の泉を復活させた若い2人の姿をみて、頑固だったジギスムントの心もほぐれていきます。

今度こそメトゥザレムとプルチネッラの本当の結婚式。泉の復活と若い2人の真実の愛をたたえて、人々の歓喜の歌声はいつまでも続くのでした。

 

脚本家より一言〜オペレッタの復活〜泉の復活〜愛の復活〜

 僕の中に以前からあった一つの物語。

 僕の懐かしい街を、跡形もなく破壊しつくしたあの震災の中で、生まれた物語です。

 長く続いた名酒の工房。その酒を支える名水が湧き出す泉。しかし、震災で泉は涸れ、工房もその歴史を閉じようとする。けれど、そこに集う人々の願いが一つになった時、死に絶えたはずの泉から、再び清冽な水が噴き出してくる・・・

 あんまり青臭い物語で、文字にすることもできないまま、この物語は僕の中でずっと眠っていました。

 今回、「王子メトゥザレム」の脚本を執筆しているうち、僕の中のこの物語は突然、このオペレッタに寄り添いはじめ、二つの物語はどんどん一体化し始めました。そしてある日、オペレッタの登場人物は、僕の中の物語の登場人物と同じように、確信を持ってこう僕に叫んだのです。

 「失われたものは戻ってくる。それを願う人々の想いさえ強ければ!」

 これは確かに、おとぎ話かもしれません。いくら願っても、決してかなわぬものも確かにあります。けれど今、僕らはこの失われたオペレッタ、「王子メトゥザレム」の復活を願い、そしてまさしく奇跡のように、「王子メトゥザレム」は、素晴らしい音楽と共に今日、甦ろうとしています。

 失われたものが、今日戻ってくるのです。

 この機会を与えてくれた、日本ヨハン・シュトラウス協会の皆様、主宰の八木原君、そして、青臭い台本に辟易しながらも、素晴らしい演技と音楽で、この物語を支えてくれたガレリア座の中間達に、心から、感謝したいと思います。ありがとうございました。

 そして、この物語を、僕の愛する街、神戸の人々に捧げます。

                          ・・・・・北 教之