第9回公演 オペラプロジェクト4
スタッフ 芸術監督・制作統括・演出
キャスト グスターヴォ3世(スウェーデン国王) Tenor ガレリア座管弦楽団
上演に寄せて オペラハウスの天井桟敷ガレリア(ええ、もちろん! これが私たちの名前の由来です)から眺める舞台〜オペラの楽しみ。大きなプロセニアム(額縁)の中に生きる人々は、歓喜に打ち震え、むせび泣き、高らかに笑い、怒りに我を忘れます。あらゆる人間の感情が、魂の叫びとなって外界に放たれるとき、私たちはそれを「歌」と呼びます。イタリア・オペラ、とりわけヴェルディの音楽には、そんな「歌」が溢れているのです。 そしていよいよ、ガレリア座がヴェルディに挑みます。 技術も、お金も、指導者さえも持たないアマチュアの私たちですが、これまで培ってきた舞台への情熱を、どう「歌」に転じられるか。歌い手も、オーケストラも、バレエも、そして裏方まで、すべてのセクションに熱い血を通わせ、一体となって魂の「歌」を歌いたい。オペラに携わる人間として、そんな幸せを一瞬でも感じられたら…。また、お客様にも感じていただけたら、それこそ望外の喜びです。 演出では、国王という「仮面」をまとうことを運命づけられたひとりの男に焦点を当てています。彼が運命の担い手たちに導かれながら、自らの死を以て、ようやく「仮面」を脱ぎ捨て、人間としての愛や友情を取り戻す悲劇に仕立ててみました。 そして、今回。いつもお世話になる大勢のスタッフに加え、昨夏のオペラ・コンチェルタンテ公演「仮面舞踏会」の練習を、特別のご好意で見学させて下さった東京フィルハーモニー交響楽団(事務の井坂さん!)と、超ご多忙(!)のなか、私たちの愚問の山に丁寧に答えて下さり、プログラムにメッセージまでいただいた世界のマエストロ、大野和士さん!!に心より感謝申し上げます。 間もなく、運命の幕が上がります。最後まで、ごゆっくりお楽しみ下さい。 本日はご来場、ありがとうございました。 ・・・・・ガレリア座主宰 八木原 良貴
あらすじ 3幕からなる悲劇的オペラ
第1幕 民衆の敬愛を集め、朝の執務にいそしむ国王グスターヴォ。しかし彼の心は、忠実な家臣レナートの妻、アメリアへの道ならぬ恋情に乱れている。その王を冷然と見つめるホーン伯爵とリビング伯爵。 レナートは、彼らの国王暗殺計画を王に告げ、王への変わらぬ忠誠を誓う。 主任判事が登場、人々を惑わす女占い師ウルリカの追放を求めるが、小姓オスカルの弁護を聞き入れ、グスターヴォは漁師に変装し、自らウルリカの隠れ家に乗り込み、事の真偽を確かめることとなる。 ウルリカの洞窟。まっ先に到着したグスターヴォは、ウルリカの占いを物陰からうかがう。兵士クリスティアーノへの占いも的中。と、そこへアメリアが現れる。 彼女も、グスターヴォへの許されぬ恋に苦しんでいる。ウルリカは「真夜中に処刑場へ行き、魔法の忘れ草を摘め」と告げる。アメリアの真情を知ったグスターヴォは、自分も処刑場に赴くことを決意する。 アメリアが去り、変装した貴族達が登場。ウルリカはグスターヴォの未来を占い、「最初に握手する人物に殺される」と予言。一同驚愕の中、王の手を握ったのは、遅れて到着したレナートだった。
第2幕 真夜中、忘れ草を積みに来たアメリア。そこへ突然グスターヴォが現れる。アメリアは彼の愛の訴えに抗えない。真実の想いを解き放つ二人。 そこへレナートが現れ、暗殺者達が迫っていると告げる。顔を隠したアメリアをレナートに託し、グスターヴォはその場を脱出する。 入れ違いに現れたリビングとホーンは、王を逃した腹いせにレナートを襲う。思わず飛び込むアメリア。その瞬間、彼女の顔を隠したヴェールが落ちる。一瞬の驚愕の後、事態を察したレナートの中に、グスターヴォに対する嫉妬と怒りが燃え上がり、彼は国王暗殺に加担することを決意する。
第3幕 アメリアを連れ帰ったレナートは死をもって罪をあがなうよう迫る。最期に一目、我が子に会いたいと懇願するアメリア。グスターヴォへの復讐の決意を固め、リビングとホーンと志を一つにするレナート。最後のとどめを刺す者を選ぶくじを引いたのは、恐怖の予感に震えるアメリアの手だった。 華やかな仮面舞踏会に向け、それぞれの思惑が交錯する。 王宮では、グスターヴォが、レナートを転任させることを決意。そこに、舞踏会の音楽が聞こえてくる。会場にいるであろうアメリアへの募る想い。危険を知らせる手紙も、彼の激情を留めることはできない。グスターヴォは、死の運命の待つ仮面舞踏会会場へ駆け込んでいく。 華やかに仮装した人々が集う仮面舞踏会は、おりしも宴の最高潮。そんななかで国王暗殺をたくらむ一味は、グスターヴォの仮装を見破ろうと合図をかわす。レナートに詰め寄られたオスカルは、グスターヴォの仮装を教えてしまう。 一方、危険を告げようと舞踏会会場に駆けつけたアメリアはグスターヴォを見つけ、この会場から去るように必死で説得する。しかし、グスターヴォは聞き入れず、アメリアにレナートとともに転任地へついていくことを促し、恋のおわりを告げる。 と、そのとき鳴り響く銃声。胸に飾った薔薇が散り、倒れるグスターヴォ。銃弾を放った反逆者として取り押さえられるレナート。ところが、グスターヴォは周囲の混乱を諌め、レナートに罪はないと赦免を告げる。後悔にくれるレナートと、運命のいたずらを嘆くアメリアを残し、周囲の人々が見守るなかで、グスターヴォは息をひきとる。 |